マイホームを先に買うべきか、投資物件を先にすべきか——「順番ミス」で失った融資枠の話
マイホームを先に買うと不動産投資ローンの枠が大幅に縮む実態を現役サラリーマン大家が解説。住宅ローン2,800万円を先に組んだ後の後悔と、順番を正解にする考え方を包み隠さず書きます。
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不動産投資を始めて3年が経った今、「あの時こうしていれば」と思うことが一つあります。
それが——マイホームを先に買ったこと。
正確に言うと、マイホームを先に買った判断そのものを後悔しているわけではありません。ただ、「順番の影響」をほぼ理解せずに動いた結果、投資物件の融資で想定外の制約を受けることになりました。
これは3年前の僕が知っておくべきだったことです。同じような状況の方に、包み隠さず書いておきます。
「先に住宅ローンを組んだ」とはどういうことか
2022年9月——妻との結婚2年目、子どもが生まれる前年に、川越市内の中古マンションを2,800万円で購入しました。自己資金180万円(頭金100万円+諸費用80万円)、借入は2,700万円。変動金利0.475%、35年ローンです。
購入当時の考えはこうでした。「先にマイホームを確保して、生活を落ち着かせてから投資物件を探そう」——。
不動産投資の勉強はしていたので、いずれ始めるつもりでいました。ただ、「マイホームを先に買うと投資ローンに影響する」という話を、その時はほとんど理解していませんでした。
問題に気づいたのは翌2023年の春。不動産投資セミナーに参加して、銀行の融資相談を受けたときでした。
「住宅ローンが2,700万円残っているので、今の年収(税込550万円)だと投資用ローンは最大800万円前後になります」——そう言われた瞬間、正直、頭が真っ白になりました。
なぜ「住宅ローンが先にある」と投資ローンが取りにくくなるのか
ここを理解していなかった自分を恥じています。仕組みは単純です。
銀行は**返済負担率(DTI)**という指標で融資枠を判断します。年収に対して毎月の返済額がどの割合を占めるか、という数字です。多くの金融機関では、この比率の上限が年収の20〜25%前後に設定されています。
僕の年収は税込550万円。月換算で約45.8万円。返済負担率25%の上限だと、月の返済上限は約11.4万円。
ここで住宅ローンの月返済額(2,700万円・35年・0.475%で約6.8万円)が先に入っていると、残りは4.6万円——。これで組める投資ローンは、35年・金利2%で計算すると1,240万円前後。
さらに「住宅ローンがある=すでにリスクを取っている」という銀行側の心理もあって、審査はさらに保守的になります。結果として、実際に言われた言葉は「800万円くらいが現実的な上限ですね」でした。
投資ローンの審査の詳細と、審査を通すための具体的な準備については不動産投資ローン審査を通すための準備と戦略にまとめています。ローンの種類や比較は不動産投資ローンの種類と選び方も参考にしてみてください。
「もし順番が逆だったら」を試算してみた
ちょっと話が逸れるけど——2020年に当時の貯金を使って先に投資物件を買っていたら、どうなっていたか試算してみたことがあります。
2020年時点の僕の貯金は約200万円。あの頃の埼玉のワンルーム相場で800万円程度の築古物件を、頭金80万円・借入720万円で買えていた可能性があります。
2022年に住宅ローンを申し込む段階では、すでに「約2年間の投資ローン返済実績」があります。これが審査で「プラス評価」になるケースがあると、後から銀行担当者に教えてもらいました。「既存の投資ローンを適切に返済している実績がある属性」として見られるため、マイホームの審査ハードルは意外と下がる——という論理です。
もちろん「たら・れば」の話です。試算は試算に過ぎません。
ただ、この試算をしてみて初めて、「順番には意味がある」と骨身に染みて理解しました。
マイホームを先に買った後でも、投資を始められた方法
正直、2023年春の融資相談後、「自分には無理だ」と1週間くらい落ち込んでいました。
でも実際には動く余地はありました。やってみた対策を3つ書きます。
1. 物件の価格帯を下げた
800万円前後の築古ワンルームに対象を絞りました。都内では難しいですが、埼玉・千葉の一部エリアならこの価格帯でも表面利回り8〜10%の物件が見つかります。
実際に購入した埼玉の物件は810万円(自己資金130万円・借入680万円)。月のキャッシュフローは8,000〜13,000円の間で揺れています——丸い数字を書きたいところですが、入居者の更新タイミングや小修繕で変動します。
2. 地方銀行・信用金庫を回った
都市銀行・メガバンクは住宅ローンとの合計残高に対して厳しい傾向があります。一方、地元の信用金庫は「その地域の物件」に対して柔軟なケースがありました。川越と大宮を中心に5行を回って、最終的に条件の合う1行と付き合いが始まっています。投資ローンの銀行比較は不動産投資ローン比較2026が参考になります。
3. 2件目は妻名義で申し込んだ
2件目(2024年購入)は妻名義のローンとしました。妻はフルタイムで勤務、年収約430万円。住宅ローンが僕の名義なので、妻の返済負担率はほぼゼロからのスタートです。
「最初からこの発想があれば」と思いましたが、これは逆に言うと「マイホームを先に買っていたからこそ使えた手」でもあります。順番が逆だったら、妻名義で投資ローンを先に組んでいたかもしれず、今度はマイホームが難しくなっていた可能性があります——物事は一方向だけから見ない方がいいです。住宅ローンと投資ローンの共存については住宅ローンと投資ローンの同時利用ガイド2026でも詳しく整理しているので、参考にしてみてください。
2件目の購入タイミングの考え方は2件目の不動産投資はいつ始める?タイミングの判断基準にまとめています。
「順番」より「いつ始めるか」の方が本質的
ここまで「順番ミス」の話を書いてきましたが、一番大切なことを最後に書きます。
「マイホームと投資物件、どちらを先にすべきか」という問いに向き合うことは重要です。でも、この問いに囚われすぎて動けなくなることの方が、長い目で見ると大きな損失です。
2022年のあの日、もし「順番をどうするか考えてから動こう」と先送りにしていたら、川越のマンションも、埼玉の投資物件も、何も手に入れていなかったかもしれません。
「向いてる順番」は存在します。でも、その「向いてる順番」に到達するまでに1〜2年が過ぎるくらいなら、多少制約がある状態で動き始める方が、最終的には資産が積み上がります。
不動産経営は長期戦です。「最初の順番が最適だったか」は、20年後には誤差の範囲になっていることが多いと、今は思っています。
サラリーマン大家としての全体的なロードマップはサラリーマン大家のロードマップ:0から1戸目購入までで整理しています。購入時の初期費用全体像は初期費用の内訳と節約ポイント:不動産購入コスト完全ガイドも参考にしてください。
まとめ:順番で変わること・変わらないこと
| マイホーム先 | 投資物件先 | |
|---|---|---|
| 住宅ローンの条件 | 投資実績なしでも通りやすい | 投資ローン残高が審査に影響することも |
| 投資ローンの枠 | DTI消費分だけ縮む | 広い状態でスタートできる |
| 精神的な安定感 | 高い(生活基盤が先にある) | 人による |
| 家族の理解を得やすさ | 得やすい | やや難しい場合も |
| 資産形成の効率 | やや劣る可能性がある | 効率が高い可能性 |
「投資物件を先に買った方が合理的」という結論は、数字だけを見れば多くのケースで正しいです。でも人生はスプレッドシートではないので、家族の状況、精神的な安定、人生の優先順位も含めて判断してください。
焦る必要はありません。ただ、「情報なしに動く」だけは避けてほしい——それが、この記事を書いた理由です。
初めての不動産購入前に確認すべきことは初めての不動産投資:購入前チェックリスト完全版にまとめています。収支の試算方法は初めての不動産購入シミュレーション完全ガイドも活用してみてください。
よくある質問
Q: マイホームを先に買うと、何年後なら投資物件のローンが通りやすくなりますか?
A: 一般的な目安は「住宅ローンの返済実績が3年以上ある」状態ですが、それより年収の上昇や借入残高の減少の方が影響が大きいケースもあります。銀行によって判断基準が異なるため、複数行に相談することを強くおすすめします。「3年待てば絶対通る」という保証はない点は、正直に書いておきます。
Q: 投資用物件を先に買うデメリットはありますか?
A: あります。住宅ローンを申し込む際に「投資ローンの残高」が考慮され、借入総額が制限される可能性があります。ただし、住宅ローンは「居住用」として投資ローンより低金利・審査もやや通りやすい傾向があるため、投資ローンを先に組んでいても住宅ローンが通らないケースは限られます。「順番よりも合計借入残高と年収のバランス」が本質的な審査基準です。
Q: 住宅ローンと投資ローンを同時に申し込むことはできますか?
A: 物理的には可能ですが、金融機関から見ると同時に2つの大型借入を申し込む姿勢はリスクとして映ります。一般的には「住宅ローンを先に確定させてから投資ローンを検討」か「投資ローンを先に組んでから住宅ローンを申し込む」の順番が現実的です。同時申し込みは審査の難易度が上がるため、避けた方が無難です。
Q: 共働き夫婦の場合、誰名義で何を先に買うべきですか?
A: 年収が高い方の名義で住宅ローンを組み、もう一方の名義で投資ローンを別途活用するケースが資産形成上は効率的なことが多いです。ただし、将来の売却時の税務や離婚リスクなども考慮が必要なため、大きな判断をする前にファイナンシャルプランナーや税理士に相談することをおすすめします。
Q: 「フルローンで投資物件を買えば手元の現金を温存できる」は本当ですか?
A: 部分的には正しいです。ただしフルローンは金利・返済負担率の面で条件が不利になることが多く、審査も厳しくなります。頭金10〜15%を用意した上でローンを組む方が、金利条件・審査通過率ともに有利になるケースがほとんどです。「現金を温存する」自体は正しい発想ですが、ゼロ頭金にこだわることでかえって選択肢が狭まるリスクもあります。
追記(2026/05/13): 日銀利上げ継続中——「順番」の影響がより大きくなっている
2026年5月現在、日銀の利上げが続いており、変動金利型の住宅ローンの実質コストが上昇しています。GW明けに知人の銀行担当者と話したところ、「2年前と比べて投資ローンの審査は全体的に引き締まっている」とのことでした。変動金利のリスクについては金利上昇局面のサラリーマン大家の対策も参考にしてみてください。
金利が上がる局面では、「先に住宅ローンを組んでから投資ローンを申し込む」パターンは、以前よりも制約が大きくなっている可能性があります。同時に、投資物件のローン金利自体も上昇しているため、「投資物件を先に買う」選択肢のコストも以前より高くなっています。
どちらを先にするかの結論は変わりませんが、「早く動き始めること」の重要性は2〜3年前より増していると感じています。
【2026年5月追記・補足】この記事を書いてから3週間が経ちました。読者の方から「妻名義で投資ローンを組む際の注意点は?」という質問をいくつかいただきました。端的に言うと、①妻が安定した収入を持っていること、②妻が保証人ではなく「名義人として自分が返済できる」と銀行に説明できること、③将来の物件売却時の税務(妻の所得として申告)の3点が重要です。詳細は不動産投資ローンの種類と選び方も参考にしてください。