初めての投資用物件購入チェックリスト|見落としがちな20項目を完全網羅
初めて投資用物件を購入する人向けの完全チェックリスト。立地・建物・収支・法務・管理の5カテゴリ20項目を数値基準付きで解説。後悔しない物件選びのために。
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初めての物件購入、見落としが命取りになる

不動産投資で最初の物件を購入するとき、チェックすべき項目は驚くほど多い。不動産会社の営業マンは当然ながら「売りたい側」だから、物件の良い面を中心にプレゼンしてくる。悪い面を積極的に教えてくれることは少ない。
だからこそ、自分自身でチェックリストを持ち、一つひとつ確認していく姿勢が不可欠だ。「あの時確認しておけば…」という後悔は、不動産投資では金額が大きいだけに取り返しがつかない。
この記事では、物件購入時に必ず確認すべき20項目を、立地・建物・収支・法務・管理の5カテゴリに分けて解説する。具体的な数値基準も示しているので、そのまま使えるチェックリストとして活用してほしい。
カテゴリ1: 立地(5項目)
チェック1: 最寄り駅からの徒歩分数
基準: 徒歩10分以内(単身向けなら7分以内が理想)
不動産の表記は「80m=1分」で計算されるが、これは平坦な直線距離の場合。坂道や信号、踏切がある場合は実際にはもっとかかる。必ず自分の足で歩いて実測すること。不動産広告で「徒歩8分」と書いてあっても、実際に歩くと12分かかったというケースは珍しくない。
チェック2: 周辺の生活利便施設
基準: コンビニ徒歩5分以内、スーパー徒歩10分以内
入居者の日常生活に直結する施設の有無は、物件の競争力に大きく影響する。確認すべき施設は以下の通りだ。
- コンビニ、スーパー
- 病院・クリニック
- 銀行・ATM
- 郵便局
- ドラッグストア
- 飲食店
- 保育園・幼稚園・学校(ファミリー物件の場合)
Googleマップで確認するだけでなく、実際に現地を歩いて営業しているかどうかも確認しよう。閉店したスーパーの建物だけが残っている、なんてこともある。
チェック3: 人口動態と将来性
基準: 直近5年で人口減少率が3%以内、できればプラス
自治体の公式サイトや国勢調査データで、エリアの人口推移を確認しよう。人口が減少しているエリアは、長期的に賃貸需要が弱まるリスクがある。
併せて確認したいのが以下の点だ。
- 大学・専門学校の有無: 学生需要が見込めるか
- 企業の進出・撤退: 大規模工場の閉鎖予定などはないか
- 再開発計画: 駅前再開発やマンション建設計画は将来の価値向上要因
チェック4: 競合物件の供給状況
基準: SUUMOで同条件(エリア・間取り・家賃帯)の募集物件が20件以下
ポータルサイトで同じ条件の募集物件がどれだけあるかを確認しよう。供給過多のエリアでは家賃の下落圧力が強く、空室リスクも高まる。特に大規模マンションが新築で建設予定のエリアは、一気に競合が増える可能性があるので要注意だ。
チェック5: ハザードマップの確認
基準: 浸水想定区域・土砂災害警戒区域に該当しないこと
ハザードマップは自治体のサイトや国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で無料で確認できる。以下のリスクを必ずチェックしよう。
- 洪水浸水想定: 浸水深が0.5m以上の区域は避けたい
- 内水氾濫: 下水道の排水能力を超える雨で浸水するリスク
- 土砂災害: がけ崩れ・土石流・地すべりの危険箇所
- 地震: 液状化リスク、活断層の有無
災害リスクが高いエリアの物件は、保険料が高くなるだけでなく、入居者にも敬遠されがちだ。
カテゴリ2: 建物(5項目)
チェック6: 築年数と建物の構造
基準: 新耐震基準(1981年6月以降の建築確認)の建物
1981年6月以前の旧耐震基準の建物は、耐震性に不安があるだけでなく、融資が受けにくい・売却しにくいというデメリットがある。初心者は新耐震基準の物件を選ぶのが無難だ。
構造による耐用年数の目安は以下の通り。
- RC造(鉄筋コンクリート): 法定耐用年数47年
- 鉄骨造: 法定耐用年数19〜34年(鉄骨の厚みによる)
- 木造: 法定耐用年数22年
法定耐用年数を超えた物件は減価償却が取れなくなり、融資条件も厳しくなる。ただし、耐用年数と実際の建物寿命は異なるので、適切にメンテナンスされた物件なら耐用年数を超えても十分使える。
チェック7: 外壁・共用部の状態
基準: 大規模修繕が適切な時期に実施されている(RC造は12〜15年ごとが目安)
現地で確認すべきポイントは多い。
- 外壁のひび割れ・塗装の劣化: クラックの有無、チョーキング(触ると白い粉がつく)の確認
- エントランスの清潔さ: 管理の質が最も表れる場所
- 廊下・階段の状態: 手すりの錆、タイルの剥がれ
- ゴミ置き場: 分別ルールが守られているか、清掃されているか
- 駐輪場・駐車場: 放置自転車の有無、ラインの状態
- 屋上の防水: 屋上に上がれるなら、防水層の状態を確認
チェック8: 室内の設備と状態
基準: 致命的な欠陥がないこと、最低限の設備が揃っていること
内見時にチェックすべき室内のポイント。
- 水回り: キッチン、浴室、トイレ、洗面台の状態。水漏れ跡がないか
- 窓・サッシ: 開閉がスムーズか、隙間風がないか、結露の跡がないか
- 床・壁: 傾きがないか(ビー玉を転がすと簡易チェックできる)、壁紙の剥がれ
- 収納: 十分な収納スペースがあるか
- 設備: エアコン、給湯器、インターホンの型式と設置年数
特にエアコンと給湯器は設置から10〜15年が交換目安。購入直後に高額な設備交換が必要になると想定外の出費になる。
チェック9: 修繕履歴と長期修繕計画
基準: 修繕積立金が月額㎡あたり200円以上(マンションの場合)
区分マンションの場合、管理組合の修繕積立金と長期修繕計画の確認は必須だ。
- 修繕積立金の金額: ㎡あたり200円以上が望ましい。100円未満は将来の積立金大幅値上げリスクあり
- 修繕積立金の残高: 計画に対して十分な積立がされているか
- 大規模修繕の実施履歴: 前回はいつ、何を実施したか
- 長期修繕計画の内容: 今後30年の修繕計画と費用見込み
修繕積立金が安すぎる物件は要注意。将来の大幅値上げや一時金の徴収が発生するリスクがある。
チェック10: 建物全体の管理状態
基準: 管理組合が機能している、管理費の滞納率が5%未満
マンション全体の管理状態は、資産価値の維持に直結する。
- 管理形態: 自主管理か委託管理か。委託管理の方が一般的に安定
- 管理費の滞納状況: 滞納率が高い物件は管理組合の運営に問題あり
- 総会の議事録: 直近の管理組合総会の議事録で、どんな議論がされているか確認
- 管理規約: ペット飼育、楽器演奏、民泊利用などのルール
カテゴリ3: 収支(4項目)

チェック11: 表面利回りと実質利回り
基準: 表面利回り6%以上(都心は4%以上)、実質利回りは表面から1.5〜2%引いた水準
不動産会社が提示する利回りは、ほぼ100%「表面利回り」だ。実際の手取りを知るには、経費を差し引いた「実質利回り」を自分で計算する必要がある。
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100
実質利回り = (年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件購入価格 + 購入時諸経費)× 100
年間経費に含まれるもの: 管理費、修繕積立金、管理委託料、固定資産税、都市計画税、火災保険料、空室損失(見込み5%程度)
チェック12: キャッシュフローのシミュレーション
基準: ローン返済後の月額キャッシュフローがプラスであること
利回りが良くても、ローンの返済条件次第ではキャッシュフローがマイナスになることがある。以下の項目でシミュレーションしよう。
- 月額家賃収入(空室率5%を見込む)
- ローン返済額(金利、返済期間で変動)
- 管理費・修繕積立金
- 管理委託料
- 固定資産税・都市計画税(月額換算)
- 火災保険料(月額換算)
返済比率(家賃収入に対するローン返済額の割合)は50%以下が安全圏。60%を超えると空室や金利上昇で即赤字のリスクがある。
チェック13: 家賃の妥当性
基準: レントロール記載の家賃が周辺相場と乖離していないこと
オーナーチェンジ物件(入居者がいる状態で売買される物件)の場合、現在の家賃が相場より高い可能性がある。長期入居者の家賃が入居時のままで、現在の相場より1〜2割高いケースは珍しくない。
この場合、退去が発生すると次の入居者には相場家賃でしか募集できないので、想定利回りが大幅に下がる。必ず相場家賃で利回りを再計算しよう。
チェック14: 購入時の諸経費
基準: 物件価格の7〜10%を諸経費として見込む
物件価格以外にかかる費用を事前に把握しておかないと、資金計画が狂う。
- 仲介手数料: 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
- 不動産取得税: 固定資産税評価額 × 3%(住宅用土地・建物の場合)
- 登録免許税: 所有権移転、抵当権設定
- 司法書士費用: 10〜20万円程度
- 印紙代: 売買契約書、金銭消費貸借契約書
- 火災保険料: 物件の構造・規模による
- ローン事務手数料: 金融機関による(借入額の1〜2%、または定額3〜5万円)
カテゴリ4: 法務(3項目)
チェック15: 登記簿謄本の確認
基準: 権利関係がクリアであること
登記簿謄本(登記事項証明書)で以下を確認する。
- 所有者: 売主と登記上の所有者が一致しているか
- 抵当権: 売主のローン残債。決済時に抹消されるか確認
- 差押え・仮差押え: これがついている物件は要注意
- 地上権・賃借権: 第三者の権利が設定されていないか
- 建物の用途・構造: 実際の用途と一致しているか
チェック16: 用途地域と建築制限
基準: 物件の用途が用途地域に適合していること
用途地域によって建てられる建物の種類や規模が制限される。将来の建て替えや増改築を考えると、用途地域の確認は重要だ。
- 用途地域: 住居系、商業系、工業系のどれか
- 建蔽率・容積率: 建物の規模が制限内に収まっているか
- 接道義務: 幅員4m以上の道路に2m以上接しているか(再建築不可物件を回避)
- セットバック: 前面道路が4m未満の場合、セットバック(道路中心から2m後退)の必要性
再建築不可物件は価格が安い分リスクも大きい。初心者は避けるべきだ。
チェック17: 契約不適合責任の範囲
基準: 契約書に契約不適合責任の内容と期間が明記されていること
2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わった。売主が宅建業者の場合は引渡しから最低2年の責任期間が義務付けられているが、個人間売買では免責とされることも多い。
契約書をよく読んで、雨漏り・シロアリ・構造の重大な欠陥について、発見時にどのような対応を求められるか確認しよう。
カテゴリ5: 管理(3項目)

チェック18: 管理会社の選定
基準: 管理戸数、入居率、対応速度で最低3社を比較
物件購入と同時に管理会社も決めておく必要がある。売主の管理会社をそのまま引き継ぐ義務はないので、自分に合った管理会社を選ぼう。
チェック19: レントロールの詳細確認
基準: 全部屋の家賃、入居年月、契約形態を確認
オーナーチェンジ物件のレントロール(賃料台帳)は、物件の収益力を判断する最重要資料だ。
- 各部屋の家賃は相場と比べて適正か
- 滞納者はいないか
- 定期借家契約の部屋はないか(期間満了で退去のリスク)
- サブリース契約の有無(解除が困難な場合がある)
チェック20: 入居者トラブルの有無
基準: 騒音、ゴミ、滞納などの問題がないこと
売主や管理会社に、現在の入居者間のトラブルがないか確認しよう。特に以下の問題は購入後に大きな負担になる。
- 家賃滞納者の有無(回収困難な長期滞納は深刻)
- 騒音トラブル
- ゴミ出しルールの違反
- 共用部の不正使用
- 反社会的勢力の入居
まとめ|チェックリストを武器にして、確信を持って購入しよう
20項目のチェックリストを一覧にまとめる。物件検討時にこのリストを印刷して持ち歩こう。
立地: (1)駅徒歩分数 (2)生活利便施設 (3)人口動態 (4)競合物件数 (5)ハザードマップ
建物: (6)築年数・構造 (7)外壁・共用部 (8)室内設備 (9)修繕履歴・計画 (10)管理状態
収支: (11)表面・実質利回り (12)キャッシュフロー (13)家賃の妥当性 (14)購入時諸経費
法務: (15)登記簿謄本 (16)用途地域・建築制限 (17)契約不適合責任
管理: (18)管理会社選定 (19)レントロール (20)入居者トラブル
20項目すべてがパーフェクトな物件はなかなかないが、致命的な項目(ハザードマップ、再建築不可、修繕積立金の著しい不足)にレッドフラグがある物件は絶対に避けるべきだ。
初めての物件購入は緊張するものだが、このチェックリストを使って一つひとつ確認していけば、確信を持って購入判断ができるはずだ。焦らず、じっくり取り組もう。
よくある質問
Q: 20項目全部クリアしないと買えないの?
A: 全項目パーフェクトな物件は、正直なかなか存在しません。重要なのは「致命的な項目にNGがないか」です。ハザードマップの浸水リスク、再建築不可、修繕積立金の著しい不足——この3つにレッドフラグがある物件は避けてください。それ以外の項目は、価格や条件との兼ね合いで判断する余地があります。
Q: 一人で20項目を全部確認するのは難しい。誰かに頼める?
A: 不動産会社(仲介)に同席してもらいつつ、物件内見の確認ポイントを参考にして自分でもチェックするのが現実的です。建物の専門的な確認が必要な場合は、ホームインスペクション(建物調査)の活用も検討してください。費用は5〜10万円程度です。
Q: 利回りの計算は難しそう。どうやって計算すればいい?
A: 表面利回りは「年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100」だけなので計算は簡単です。ただし実際の手取りを知るには実質利回りの計算が必要です。利回り計算の完全ガイドで具体的な計算式と、よくある誤解について解説しています。
Q: 物件を買う前に不動産投資ローンの審査は通るの?
A: 事前に「事前審査(仮審査)」を通す流れが一般的です。物件が決まる前でも、自分の属性(年収・勤続年数・既存借入)をもとに「大体いくらまで借りられるか」の感触を確認できます。不動産投資ローンの種類と審査のポイントに詳しく書きました。
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【2026年4月追記】2026年から一部の金融機関が「物件の修繕計画書の提出」をローン審査時に求めるケースが増えています。特に築20年以上の区分マンションを購入する際、長期修繕計画と積立金残高の書類を事前に用意しておくとスムーズです。購入前チェックの重要性が、融資面でも問われるようになってきたと感じています。