入居者からの設備故障クレーム、深夜に来た話|大家が失敗から学んだ正しい対応フロー
深夜の設備故障クレームで費用が想定の1.8倍に膨らんだ失敗体験を公開。管理会社を通さず動いた顛末と、サラリーマン大家が知っておくべき正しいクレーム対応フロー・事前対策を解説。
※当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。記事内のリンクから商品を購入すると、当サイトに報酬が支払われることがあります。詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください。
深夜11時に電話が鳴った
不動産投資を始めて1年2ヶ月目、4月22日の夜11時のことだった。
着信画面に見慣れない番号が表示された。最初はスパムかと思って出るのをためらった。でも、3回目のコールで拾った。
「あの、○○マンションの203号室の者ですが……エアコンから水が漏れてきて、床が濡れてしまっているんですが」
一瞬、頭が真っ白になった。エアコンの水漏れ。どう対処すればいいか、正直わからなかった。
「す、すぐに対応します」
その場の勢いでそう答えてしまったのが、すべての失敗の始まりだった——。
最初の対応で3つの失敗をした
失敗1: 管理会社に連絡せずに自分で動いた
電話を切った後、最初にすべきだったのは「管理会社の緊急連絡先に電話する」だった。
でも当時の僕は焦っていた。夜11時に管理会社に電話するのが申し訳ない気がしたのだ(今思えば意味不明な遠慮だが)。代わりにネットで「エアコン 水漏れ 業者 緊急」と検索して、ヒットした修理業者に電話した。
これが失敗だった。
その業者は深夜割増で、翌朝に正規料金の2.3倍を請求してきた。後から管理会社に確認したところ、管理会社が契約している業者に頼めば、同じ修理が正規料金で済んでいたと判明した。
差額にして約15,000円。少ない金額ではない。
失敗2: 入居者に「すぐ来る」と約束してしまった
「すぐ対応します」という言葉を、入居者は「今から来てくれる」と解釈していた。
深夜に現地に向かうはめになった。片道40分かかる物件だ。往復80分。エアコンの前に立ってみたものの、素人の僕に修理できるわけがない。業者が来るまでの1時間半、ただ入居者と気まずい沈黙の中で待つだけだった。
(書いてて思い出すだけでしんどい)
失敗3: 被害状況の記録をしなかった
水漏れで濡れた床の写真を撮り忘れた。後から「ここが傷んだ」「あれが濡れた」と言われても、証拠が何もない状態になってしまった。幸い、入居者が誠実な方で大ごとにはならなかったが、もし揉めていたら非常に不利な立場になっていた。
正しい対応フロー:僕がやるべきだったこと
あの失敗から1年以上が経った今、設備故障クレームの正しい対応フローは完全に頭に入っている。
ステップ1: 管理会社の緊急連絡先に即電話(1分以内)
クレームを受けたら、まず管理会社に連絡する。夜間・休日であっても、管理会社には緊急対応窓口があるはずだ。管理会社に任せるのが正解で、オーナーが直接手を動かす必要はない。
もし管理会社が夜間対応していない場合は、それ自体が問題なのだが、選び方については管理会社の選び方|失敗しないための7つのチェックポイントに詳しく書いてある。24時間対応の有無を契約前に確認することが不可欠だ。
ステップ2: 入居者への折り返し連絡(5〜10分以内)
管理会社に電話した後、入居者に状況を報告する。
「管理会社に連絡しました。○分以内に担当者からご連絡が行きます」
これだけでいい。入居者は「誰かが動いてくれている」という安心感を求めている。
絶対に言ってはいけない言葉: 「すぐ伺います」「今夜中に直します」
できないことを約束するのが最悪のパターンだ。実現できなかったとき、信頼は一気に失われる。
ステップ3: 被害状況の写真記録(可能な範囲で)
入居者にお願いして、濡れた床・故障した設備・水漏れの様子をスマホで撮影してもらう。LINEやメールで送ってもらえれば最高だ。
記録があると、後からトラブルになったときに非常に助かる。原状回復トラブルを避けるためのガイドでも書いたが、写真の有無が争点になることは少なくない。
ステップ4: 修繕後の確認とフォロー
修繕が完了したら、入居者に「ご不便をおかけしました。解決できてよかったです」と一言伝える。小さなことだが、信頼関係に直結する。
入居者との関係が良好だと、「ちょっと気になってたんですが」と早期に問題を教えてもらえるようになる。小さなトラブルを放置して大修繕になるリスクが下がるのだ。
管理会社との連携がすべてを決める
ちょっと話が逸れるけど——この件以来、僕は管理会社との関係を根本から見直した。
当時契約していた管理会社は、夜間の緊急対応が電話口での「様子見」止まりで、業者手配は翌朝以降という体制だった。それ自体は珍しくないのかもしれないが、入居者への対応スピードとしては不安が残る。
半年後に管理会社を変更した体験記でも詳しく書いたが、24時間対応の管理会社に変えてから、深夜のクレームへの精神的な負担が全然違う。「もし夜中に連絡が来たら」というストレスが消えた。
管理手数料は月額で2,100円ほど上がったが、コントロールできないリスクを管理会社に移転するコストとして、妥当だと考えている。正直に言うと。
設備故障に備えてやっておくべき5つのこと
事後の対応だけでなく、事前の備えも大切だ。
1. 管理会社の緊急連絡先と対応体制を確認する
24時間対応かどうか、業者手配が夜間でも可能かどうかを契約前に確認する。修繕積立の考え方と長期計画でも触れているが、緊急修繕は突然来る。夜間対応体制のない管理会社は、いざというとき頼りにならない。
2. 設備の状態を年1回チェックする
エアコン・給湯器・洗濯機置き場の防水パン・キッチンの水栓など、トラブルが多い設備は定期的にチェックする。管理会社の定期巡回レポートを活用しよう。5月は梅雨の前にエアコンのドレン詰まりを確認しておくといい。
3. 修繕費の積立を継続する
家賃収入の5〜10%を修繕費積立として別口座に入れておくと、突然の出費に動じなくなる。僕の場合、3戸の物件から毎月14,000円(家賃収入の約6.8%)を積み立てている。4月の設備故障修繕費は62,000円(税込)だったが、積立から支払えたので焦らなかった。
4. 入居時に連絡先ルールを明確に伝える
入居時に「設備のトラブルは管理会社の○○番にお電話ください。緊急の場合も24時間対応しています」と伝えておく。オーナー直通への連絡が減るし、入居者も安心できる。
5. 入居者審査に手を抜かない
設備故障クレームの対応が穏やかにすむかどうかは、入居者の人柄にも大きく左右される。入居者審査で失敗した話でも正直に書いたが、審査の甘さが後の運営を複雑にすることがある。「ちょっと怪しいけど空室よりマシ」という妥協は、長期的にはコストになる。
よくある質問
Q: 設備故障の修理費用は大家負担ですか?入居者負担ですか?
A: 通常の使用による経年劣化や故障は大家負担が原則です。ただし、入居者の不適切な使用が原因の場合(排水ホースを自分で接続し直して水漏れした等)は入居者負担になります。判断が難しいケースは管理会社に相談するのが一番で、最終的には賃貸借契約書と民法の規定に基づきます。
Q: 深夜のクレームには絶対に対応しなければなりませんか?
A: 緊急性によります。水漏れ・停電・ガス漏れのような「今夜中に対処しないと危険・被害が拡大する」ものは緊急対応が必要です。一方、「エアコンが効きにくい」「水道の水圧が弱い」程度なら翌朝でも問題ないケースがほとんどです。管理会社が24時間対応であれば、判断は管理会社に任せましょう。本文で書いたとおり、オーナーが「緊急か否か」を判断する必要すら、本来はありません。
Q: 管理会社が対応してくれない場合はどうすればいいですか?
A: まずは管理会社の上長や責任者に連絡します。それでも解決しない場合は、管理会社の変更を検討する時期かもしれません。管理会社を変更した体験記に変更の手順と引き継ぎポイントを詳しく書いています。「変更は大変そう」と感じる方も多いですが、放置するコストの方が大きいことが多いです。
Q: 設備故障に備えた保険はありますか?
A: 火災保険の建物部分に含まれる「水濡れ補償」が役立つ場合があります。また、設備故障に特化した「設備保証サービス」を提供している管理会社もあります。保険の選び方は火災保険・地震保険の選び方で詳しく解説しているので参考にしてください。
追記(2026年5月)
この記事を書いてから、管理会社を変更してちょうど1年が経った。
夜間の設備クレームは、この1年で2件。どちらも管理会社が一次対応してくれて、翌朝に「○○が故障しましたので業者手配しました。費用○○円、ご確認をお願いします」という報告が届いただけだった。
あの4月22日の夜——片道40分かけて深夜に物件に駆けつけ、業者を待ちながら入居者と気まずく過ごした時間——が、嘘みたいに思える。
管理会社に払う手数料の意味は、こういう「精神的なコストをプロに移転すること」にある。そう理解してからは、管理費を「高い」とは感じなくなった。
サラリーマン大家として本業に集中できる環境を整えること。それが、不動産投資を長く続けるために一番大切なことだと、今は思っています。
都内2戸・埼玉1戸のワンルームマンションを保有。年間キャッシュフロー約120万円(税引後)。経理職のサラリーマン大家として、リアルな数字と体験をお伝えしています。