不動産投資の火災保険・地震保険はどう選ぶ?サラリーマン大家が実体験で解説
投資用物件の火災保険・地震保険の選び方をサラリーマン大家が解説。補償内容の比較、適切な保険金額の決め方、コスト削減のポイントまで包み隠さず紹介します。
不動産投資を始めるとき、「火災保険は必須です」と言われます。
でも、正直に言うと——どの保険を選べばいいか、僕にはまったくわかりませんでした。
自分が住む家の火災保険は、以前から加入していました。でも投資用物件の保険は別物です。補償内容も、保険金額の考え方も、選ぶポイントもまるで違う。それを誰も教えてくれないまま、物件購入の手続きが進んでいきました。
この記事は、3年前に中古ワンルームを初めて購入した際、保険選びで迷いに迷った自分への「答え合わせ」のつもりで書いています。
投資用物件に火災保険は「任意」だが、実質的に必須
まず大前提として、法律上、火災保険への加入は義務ではありません。
ただし、ローンを組む場合は話が変わります。
ほぼすべての金融機関が、融資条件として火災保険への加入を求めます。 建物が焼失したのにローン残債が残る——これは銀行にとっても、当然避けたい事態だからです。
自己資金で購入する場合は任意ですが、それでも加入すべきです。火事だけでなく、台風・水害・落雷・盗難など、不測の事態に対する備えがなければ、年間120万円(税引後)のキャッシュフローが一晩で吹き飛びます。
火災保険で補償される主なリスク
投資用物件の火災保険には、以下のリスクが含まれるのが一般的です。
基本補償
- 火災・爆発・落雷: 火事の基本。これは全保険に含まれる
- 風災・雹(ひょう)災・雪災: 台風や大雪による屋根・外壁の破損
- 水濡れ: 上階からの漏水、給排水設備の事故
- 盗難: 鍵の破壊、窓ガラスの割れなど
オプション補償
- 水害: 洪水・浸水。ハザードマップで要確認
- 破損・汚損: 入居者が誤って壁を傷つけた場合など
- 家賃補償(賃料収入特約): 火災後の修繕期間中、失った家賃を補償
この中で**見落としがちなのが「家賃補償特約」**です。
僕の場合、最初の物件ではこの特約を付けていませんでした。後で管理会社から「もし火事になったら、修繕の数か月間は家賃ゼロになりますよ」と言われて、慌てて2件目からは追加しました。
保険金額の設定:「再調達価額」が基本
保険金額をいくらに設定するか——これが最も迷うポイントです。
投資用物件の場合、建物の「再調達価額(再建築費)」を基準に設定します。
| 設定方法 | 内容 | 推奨度 |
|---|---|---|
| 再調達価額 | 同等の建物を新たに建てる費用 | ★★★ 推奨 |
| 時価 | 経年劣化を差し引いた現在の価値 | △ 築古物件向け |
| 購入価格 | 不動産取得価格 | ✕ 土地代が含まれるため過剰になる |
**重要なのは「土地代を含めないこと」**です。
購入価格2,000万円の物件でも、土地代が1,200万円なら、建物部分は800万円程度です。2,000万円分の保険をかけると保険料を払いすぎますし、受け取れる保険金額も「建物の再調達価額」が上限になります。
僕の埼玉の物件(築22年、購入価格1,450万円・自己資金290万円、借入1,160万円)では、保険設計書に記載された再調達価額700万円を参考に設定しました。
地震保険:「任意」だが東京・首都圏は真剣に考えるべき
地震保険は単独では加入できません。火災保険とセットで加入する仕組みになっています。
保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で設定します。つまり、火災保険の保険金額が700万円なら、地震保険は最大350万円が上限です。
地震保険に入るべきか?
正直に言うと、これは立地によって判断が分かれます。
| 条件 | 地震保険の必要性 |
|---|---|
| 首都圏・東海・関西(地震リスク高) | 加入を強く推奨 |
| 地方都市(リスク比較的低) | 保険料と相談 |
| 木造アパート | リスク高め。加入推奨 |
| RC造マンション | 躯体へのダメージは限定的。判断の余地あり |
僕が所有する都内の2戸(いずれもRC造)は地震保険に加入しています。埼玉の物件(木造)も同様です。
「大地震が来たら保険でカバーできないレベルになる」という意見もあります。それは一理あります。でも、何もないよりはあったほうがいい——これが3年大家をやってきた本音です。
ステップ別:保険選びの実際の手順
ステップ1: 不動産会社が提案する保険をそのまま受け入れない
物件購入時、不動産会社や金融機関が「提携保険会社の保険」を勧めてくることがあります。
これをそのまま受け入れると、割高になるケースが多いです。提携先の保険会社への紹介料が価格に含まれていることがあるためです。
「ちょっと時間をいただけますか」と一言断り、比較検討する時間を作りましょう。
ステップ2: 比較サイトで複数の保険会社を比較
保険の比較は、ネット上の保険一括見積もりサービスが便利です。同じ補償内容でも、保険会社によって年間保険料が2〜3倍異なることは珍しくありません。
僕の場合、最初に提案された保険が年間4.2万円だったのが、比較して選んだ保険では年間2.8万円になりました(補償内容は同等)。差額1.4万円/年。10年では14万円です。
ステップ3: 長期一括払いでコストを下げる
火災保険は長期一括払いにすることで、総保険料を抑えられます。
最長5年の長期契約が一般的です(2022年の法改正以降)。月払いより10〜15%程度安くなることが多いです。自己資金に余裕があるなら、長期一括払いを選びましょう。
入居者の「家財保険」との混同に注意
よくある誤解として、「入居者が家財保険に入っているから、オーナーの火災保険は不要では?」という考えがあります。
これは誤りです。
入居者の家財保険は、あくまで入居者自身の家財(家具・衣類・電化製品など)を補償するものです。建物自体(壁・床・設備)の補償は、オーナーが加入する火災保険でなければカバーされません。
逆に言えば、入居者の不注意で火事を起こされた場合、入居者の「個人賠償責任特約」から建物修繕費を求償できるケースがあります。この観点から、入居者に「家財保険への加入」を入居条件にしているオーナーも多いです(僕もそうしています)。
まとめ:保険は「お守り」ではなく「経営ツール」
不動産経営を3年続けて感じるのは、保険は「万一のときの精神的安心」ではなく、キャッシュフローを守るための経営ツールだということです。
年間2〜4万円の保険料を払うことで、数百万円のリスクをヘッジできる。保険料をケチって補償が薄くなれば、一度の事故でキャッシュフロー数年分が消えます。
とはいえ、補償を盛りすぎて保険料が重くなるのも本末転倒です。
「必要な補償を、適切な金額で、コスト最適化して」——この3点が、投資用物件の保険選びの基本です。
焦る必要はありません。物件購入の前から少しずつ調べておけば、いざという時に慌てずに済みます。一歩ずつ、着実に積み上げていきましょう。
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