固定資産税の通知が届いた日のこと——3物件のリアルな数字と見落としていた節税の話

5月下旬に届いた固定資産税の納付書。都内2戸・埼玉1戸のサラリーマン大家が3物件の実額・軽減措置・キャッシュフローへの組み込み方を包み隠さず公開(2026年版)。

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5月22日。川越のマンションの郵便受けを開けると、3通まとめて入っていました。

品川区、江戸川区、川越市——それぞれの自治体から送られてきた固定資産税・都市計画税の納税通知書です。毎年この時期に届くとわかっていても、封を開けるときに少し身構えます。「今年はいくらか」という感覚は、大家3年目になった今でもあまり慣れません。

封を開けて3枚を並べると、合計184,800円。

去年は176,600円でした——つまり8,200円の増加。「なんで上がってるんだろう」と思いながら数字を眺めたのが、この記事の始まりです。

固定資産税の通知書


3物件の固定資産税——実数値、全部出します

まず数字から。隠す理由はないので、全部出します。

都内ワンルームA(品川区・築17年)

  • 固定資産税: 68,400円
  • 都市計画税: 17,100円
  • 年額合計: 85,500円

都内ワンルームB(江戸川区・築22年)

  • 固定資産税: 52,300円
  • 都市計画税: 13,000円
  • 年額合計: 65,300円

埼玉ワンルームC(川越市・築28年)

  • 固定資産税: 28,600円
  • 都市計画税: 5,400円
  • 年額合計: 34,000円

3物件の合計

物件固定資産税都市計画税年額合計
品川区(A)68,400円17,100円85,500円
江戸川区(B)52,300円13,000円65,300円
川越市(C)28,600円5,400円34,000円
合計149,300円35,500円184,800円

月換算すると15,400円(税引後のキャッシュフローから毎月確実に出ていく固定費)。

ここで一つ確認させてください。この数字、キャッシュフロー計算に正しく入れていましたか?

「月1万5,000円くらい」というざっくりした見積もりではなく、年間184,800円÷12=月15,400円——。この精度で計算に組み込んでいるかどうかで、収支の見え方がかなり変わります。不動産投資の基本的な収支計算については不動産税金と収支の総合ガイドも参考にしてみてください。


固定資産税の計算式——3年目でやっと腑に落ちた

計算式は単純です。

固定資産税   = 課税標準額 × 1.4%
都市計画税   = 課税標準額 × 0.3%(地域により異なる)

問題は「課税標準額」がどこから来るか、です。

課税標準額 = 固定資産税評価額 × 住宅用地特例率

ここで住宅用地の特例が効いてきます。小規模住宅用地(200㎡以下の土地)は固定資産税の課税標準額が評価額の1/6に軽減されます。区分所有マンションの場合、土地の持分が小さいので、ほぼ全量が1/6の対象になります。

ぶっちゃけ、僕は最初の2年間、この軽減措置が正しく適用されているかどうか一度も確認しませんでした。通知書に書かれた数字をそのまま口座引落で払って終わり——。

軽減が正しく適用されているかは、通知書の「課税明細書」の欄を見ればわかります。「住宅用地の特例」と記載があり、土地の課税標準額が評価額より低くなっていれば適用されています。2年間それを確認しなかったのは、正直、怠慢でした。


今年の通知が去年より高かった理由——評価替えの年だった

8,200円の増加の原因を調べてみると、理由はわかりました。

固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われます(これを「評価替え」と呼びます)。2024年が評価替え年で、翌2025年の課税(2025年度分)から新しい評価額が適用されています。

今年の通知書では、品川区の物件の評価額が前回(2021年)比で+3.2%上昇していました。江戸川区の物件も同様に小幅上昇。川越市の物件はほぼ横ばいでした。

都心の地価上昇が評価額にも反映された、ということです。

(書きながら思ったんですが、これ3年ごとに確認する仕組みをリマインダーに入れておかないと絶対忘れますね。毎年通知書を見ているだけでは「なんとなく高いな」で終わってしまう。評価替え年に前回分と比較するリマインダーを、さっきGoogleカレンダーに入れました。)


見落としていた節税のポイント

今年の通知書を確認する中で、3年間やってこなかったことに気づきました。

① 課税標準額の確認

通知書には「課税明細書」が同封されています。ここに記載されている課税標準額が、正しく軽減措置の適用後の数字になっているか確認することが大事です。

区分マンションの場合、「居住用」として登録されているかどうかも確認ポイントです。実態として賃貸に出していても、固定資産税上の区分が「居住用住宅」であれば住宅用地の特例は適用されます。

② 評価額への不服申立

これは今年初めて知ったことです。

固定資産税の評価額に疑問がある場合、納税通知書の交付後3ヶ月以内に固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます。費用はかかりません。

ただし「なんとなく高い気がする」だけでは難しく、評価額の計算に誤りがあるとか、近隣の類似物件と比較して明らかに高いという根拠が必要です。実際に評価が変わるケースは少ないようですが、明確な計算ミスがある場合は検討の価値があります。

③ 賃貸業の経費として計上

これは当然のことではありますが、意外と確定申告で漏れている大家さんがいると聞きます。固定資産税は不動産所得の必要経費として全額計上できます。

年間184,800円の固定資産税を経費計上することで、僕の税率(所得税・住民税合算20%前後)だと年間37,000円ほどの節税になります——地味ですが確実な数字です。

サラリーマン大家の確定申告の詳細確定申告2026の実務ガイドもあわせて参考にしてみてください。減価償却については減価償却を使った節税の実践ガイドでも詳しく書いています。


キャッシュフロー計算への正しい組み込み方

固定資産税の月割り額を正確に計算に入れているかどうかで、実質的なキャッシュフローの見え方が大きく変わります。

計算のイメージ

3物件の合計184,800円を12で割ると月15,400円。これは毎月確実に積み上がっていく「見えない固定費」です。

例えば、こういう見誤りが起きます。

月の家賃収入(手取り)が15万円、月のローン返済・管理費が13万円、差し引き月2万円のCF——と計算している。

でも固定資産税の月割り分15,400円を入れていなければ、実際のCFは2万円から15,400円を引いた4,600円(税引前)。固定資産税をここに入れてやっと「正確な手残り」になります。

CF計算の詳しい方法論は利回り計算の教科書:実質利回りと表面利回りの差不動産購入前のシミュレーション実践ガイドでまとめています。


おすすめしない人(これが大事)

包み隠さず書いておきます。

固定資産税を毎年一括払いで出せない人は要注意です。固定資産税は分割払い(年4回)も選べますが、年額を事前に見込んでキャッシュを確保しておく習慣がないと、毎年5月〜6月に「あっ、今月厳しい」となります。

特に注意が必要なのは、物件のCFが固定資産税の月割り分を超えない薄利物件を複数持っているケースです。個別の物件は「黒字のはず」と思っていても、固定資産税を月割りで引いてみると赤字——という状況は、投資初期に起きやすいです。

僕の3物件合計で月15,400円。これを下回るCFしかない物件があるなら、その物件は実質的に持ち出しが発生しています。数字を直視することが、次の判断の起点になります。


不動産のイメージ


よくある質問

Q: 固定資産税は毎年いつ届きますか?支払いのタイミングは?

A: 納税通知書は毎年4月〜6月頃に届きます(自治体によって異なります)。支払いは年4回(6月・9月・12月・翌2月)の分割か、一括払いかを選べます。一括払いを選ぶと若干割引になる自治体もあります。僕は毎年6月の一括払いを選んでいます。手間が少ない上、割引は小さいですが確定申告の経費計上がシンプルになるためです。

Q: 固定資産税評価額が高すぎると感じたら、どうすればいいですか?

A: 納税通知書が届いてから3ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会への審査申出が可能です。費用はかかりませんが、評価額の見直しを求める根拠(近隣の取引事例、評価額の計算誤りなど)を準備する必要があります。実際に申出して評価が下がるケースは多くはありませんが、明らかな計算ミスや前回評価との齟齬がある場合は検討する価値があります。

Q: 投資物件の固定資産税は確定申告の経費になりますか?

A: はい、賃貸用物件にかかる固定資産税は不動産所得の必要経費として計上できます。支払った年に全額経費にできるため、減価償却と異なり「支払った分が翌年の確定申告でそのまま控除できる」というシンプルさが特徴です。

Q: 固定資産税評価額と不動産取引価格の関係は?

A: 一般的に固定資産税評価額は市場価格(実際の取引価格)より低く設定されています。都心部では市場価格の50〜70%程度が目安ですが、エリアや物件種別によって大きく異なります。不動産相続や売却時の参考指標として使われることもありますが、取引価格の代わりとして使うのは注意が必要です。


追記(2026/05/28): この記事を書いた後、税理士の先生に「評価額の不服申立を実際に使った大家を知っているか」と聞いてみました。「2〜3%の評価額修正例は見たことがあるが、費やす労力に見合うかは物件次第」とのことでした。都心の高額物件なら差額が大きくなるので検討の余地があるそうです。


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