ローンを繰り上げ返済すべきか、2戸目を買うべきか——3月の3連休に計算し続けた話
サラリーマン大家が不動産投資ローンの繰り上げ返済と物件拡大どちらが得か徹底比較。2026年金利上昇局面での最適解をキャッシュフロー試算付きで解説。
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3月の3連休、僕はひたすらスプレッドシートを開いていた
3月20日(木・祝)の朝。春分の日。
嫁と娘は義実家に帰省して、家に1人。「これは集中できる3日間だ」と思って、朝からスプレッドシートを開いた。
——テーマは、ずっと頭の中にあった問いへの回答を出すこと。
「今の余剰資金200万円、繰り上げ返済に使うべきか。それとも2戸目の頭金にすべきか。」
3日かけて計算した結果と、実際に出した答えをそのまま書きます。先に結論だけ言うと、どちらが正解かは「物件と金利と手元資金のバランス」によって変わる——という、ちょっともどかしい話です。ただ、その判断軸は明確にできたので、共有します。
僕の現在地(2026年3月時点)
まず、前提情報から。
- 物件A(都内・ワンルーム): 購入価格1,680万円、ローン残高1,120万円、金利1.475%(変動)、月家賃6.8万円、管理費・修繕積立金込みキャッシュフロー+1.9万円/月
- 物件B(都内・ワンルーム): 購入価格1,520万円、ローン残高960万円、金利1.675%(変動)、月家賃6.5万円、キャッシュフロー+1.5万円/月
- 物件C(埼玉・ワンルーム): サブリース契約中、キャッシュフロー+1.1万円/月
3戸合計の月次キャッシュフローは、だいたい4.2万〜4.8万円くらい。波があります。正確に言うと、「ちゃんと計算した月の合計」は4.5万円なんですが、毎月微妙に振れるんですよね。
手元には、経費・修繕積立として分けているお金を除いた「完全に使える余剰資金」として約200万円があります。
これを今年中にどこかに投じる——というのが、今の課題です。
「繰り上げ返済」を選んだ場合の計算
まず繰り上げ返済のシミュレーション。
金利が高い物件B(1.675%)のローンに200万円を繰り上げ返済したとすると、どうなるか。
試算前提:
- ローン残高: 960万円
- 金利: 1.675%(変動)
- 残期間: 約22年
- 繰り上げ額: 200万円
シミュレーターで計算したところ、総利息の削減額は約46.3万円、期間短縮は約2年7ヶ月という結果でした。
毎月の返済額は変えず「期間短縮型」を選んだ場合の試算です。
47万円の金利削減。22年という長い目で見れば大きな数字ですが、「今すぐ」の話ではない。
(ここ書くのに30分悩んだ)
「繰り上げ返済は着実な利回り1.675%の確定リターン」という考え方もある。確かに。でも22年かけての話です。
「2戸目(実質4戸目)の頭金」を選んだ場合の計算
次に、物件拡大のシミュレーション。
現在のポートフォリオに1戸追加する場合、200万円は「頭金+諸費用」の一部になります。
僕が想定しているのは、都内近郊・利回り5〜6%・購入価格1,500万円前後のワンルーム。
- 購入価格: 1,500万円
- 頭金: 150万円(10%)
- 諸費用: 60〜80万円(仲介手数料、登記費用、火災保険等)
- 借入額: 1,350万円、金利1.8%(変動・想定)、35年
この場合の月次キャッシュフロー(想定):
- 家賃収入: 6.2万円
- ローン返済: 約4.3万円
- 管理費・修繕積立: 約0.7万円
- 手取りCF: 約1.2万円/月
年間換算で1.4〜1.7万円くらいの増加。——と、ここでちょっと話が逸れますが。
ぶっちゃけ、4戸目を急いで買う必要が今あるかというと、ない。
2戸目・3戸目を買うタイミングでも書きましたが、「資金の準備ができたから買う」は間違いで、「いい物件が出たときに買える状態にしておく」のが正解です。
でも、200万円が手元にある状態で「何もしない」というのは、なんとなく落ち着かない。これはただの心理的な問題なんですが。
金利上昇局面という変数
2026年の今、金利上昇がサラリーマン大家に与える影響は無視できない状況になっています。
日銀は2025年後半から段階的な利上げを進めており、2026年3月時点で政策金利は0.75%。僕が保有する変動金利ローンは、現在より0.25%上昇するシナリオでも月次返済額への影響は軽微ですが、0.5%以上になると話が変わってきます。
金利が現状比+0.5%になった場合の試算:
- 物件A(残高1,120万円): 返済増加 +約4,600円/月
- 物件B(残高960万円): 返済増加 +約4,000円/月
- 2戸目追加(残高1,350万円): 返済増加 +約5,600円/月
合計で月1.4万円ほどの返済増加。今のキャッシュフロー(4.5万円/月)から差し引くと、3.1万円/月まで圧縮されます。
「それでも黒字」と言えばそうです。でも修繕費や空室が重なると、厳しい月が出てくるかもしれない。
この「ストレス耐性」を考えると、繰り上げ返済にも一定の合理性があります。
“稼げる余地”という視点
ちょっと別の角度で考えてみました。
200万円を繰り上げ返済に使う場合、そのお金は22年かけて46万円の利息削減をもたらします。
200万円を新規物件の頭金にした場合、キャッシュフローとして年間1.4〜1.7万円×35年=49〜59万円の収益(ただしこれはキャッシュフローのみで、ローン返済部分の資産積み上げは含まず)。
——どちらも、じわじわ時間をかけて効果が出るという意味では似ています。
ただ、物件拡大には「売却益」という別の出口があります。出口戦略の設計を考えると、物件数が増えることで選択肢が広がる。
一方、繰り上げ返済は確実な利息削減というリターンがあり、投資リスクがゼロ。不動産投資シミュレーションの観点から見ると、現金創出力を高める効果があります。
僕が出した結論——「半々」
3日間計算した結果、僕が出した答えは「両方少しずつ」でした。
- 物件B(金利1.675%)に100万円繰り上げ返済: 高金利ローンを削減、リスクヘッジ
- 残り100万円は2戸目購入準備資金として温存: 良い物件が出たときに即動けるように
「どちらも中途半端では?」という声もあるかもしれません。でも、200万円を全額どちらか一方に使うより、オプションを残す方が今の自分には合っていると判断しました。
正直に言うと、「これが正解」という確信はないです。2年後に「やっぱり全額繰り上げ返済にすればよかった」と思う可能性も、「全部頭金にすればもう1戸買えてたのに」と思う可能性も、両方ある。
サラリーマン大家の投資ロードマップでも繰り返し書いていますが、不動産経営に「100点の答え」はありません。自分のリスク許容度と生活状況を踏まえた「最善解」を、その都度出していくしかない。
繰り上げ返済が向いているケース vs 物件拡大が向いているケース
最後に、判断軸を整理します。
繰り上げ返済を優先すべき人:
- 手元キャッシュが返済額の6ヶ月分を切っている
- 金利が2%を超える高金利ローンを保有している
- 本業の収入が不安定で、リスクを取りたくない
- 物件数がすでに3〜4戸あり、管理が大変になってきた
物件拡大を優先すべき人:
- 金利が1%台前半の低利ローンしかない(繰り上げ返済の効果が小さい)
- 手元に6ヶ月分以上の余裕資金がある
- 気になるエリアの物件価格が今後上がりそうな気配がある
- 1〜2戸しかない状態で分散投資したい
「“おすすめしない人”を書け」とよく言われるので正直に言うと、手元資金が200万円を切っている状態で物件拡大に全力を注ぐのは、リスクが高いと思います。修繕費1回で100万円飛ぶことがある。
修繕費の積み立て計画はきちんと立てた上で、それでも余剰が出た分を投じる——この順番が大切です。
よくある質問
Q: 繰り上げ返済と投資継続、どっちが結果的にお得になりますか?
A: ローン金利より期待利回りの方が高ければ投資継続が有利、低ければ繰り上げ返済が有利という判断軸が基本です。ただし投資には空室・修繕リスクがあり、繰り上げ返済は確実なリターンです。本文で試算したように、金利1.675%のローンに繰り上げ返済した場合の22年間の削減額は約46万円。利回り5%の物件を追加購入した場合の35年間のCFは50万円超。長期で見るとほぼ拮抗します。
Q: 変動金利が怖いのですが、今すぐ繰り上げ返済した方がいいですか?
A: 金利が今後0.5%上昇するシナリオでも、月々の返済増加は物件1戸あたり数千円程度です。まずは繰り上げ返済より「手元の緊急予備資金(返済額×6ヶ月分)」の確保を優先してください。予備資金があれば、金利が多少上昇しても対応できます。繰り上げ返済はその後の判断で問題ありません。
Q: 2戸目を買う前に1戸目のローンを完済する必要はありますか?
A: 必要はありません。むしろ完済を待っていると、物件購入のチャンスを逃す可能性があります。重要なのは「追加借入後の総キャッシュフローが安定してプラスになるか」「融資審査に通る属性かどうか」です。不動産投資ローンの基本で詳しく解説していますが、2〜3戸目の融資は1戸目の返済実績が評価されます。
Q: 手元に300万円あったら、200万円繰り上げ返済に使ってもいいですか?
A: 使ってもいいですが、残り100万円で半年分の生活費+修繕積立金をまかなえるか確認してください。不動産投資は予期しない支出(給湯器交換15万円、エアコン交換8万円等)が定期的に発生します。100万円が枯渇しそうなら、繰り上げ返済額を100万円に抑えるか、見直してください。
Q: 繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」どちらがいいですか?
A: 一般的には総利息の削減効果が大きい「期間短縮型」が有利とされています。ただし、月々のキャッシュフローに余裕がなく手元資金を増やしたい場合は「返済額軽減型」を選ぶと毎月の可処分が増えます。サラリーマン大家の場合、本業収入があるため通常は「期間短縮型」を選ぶ方が多いです。
【2026年4月追記】
先日の日銀会合で、追加利上げについての議論が続いていることが報じられました。変動金利ローン保有者にとっては引き続き注視が必要な状況です。
現時点(2026年4月)で僕が実行したのは、物件Bに100万円の繰り上げ返済(3月末実行済み)、残り100万円は引き続き2戸目準備資金として温存中。今のところこの判断に後悔はしていませんが、来年の今頃にまた同じ計算をすることになるんだろうな、とは思っています。
前回の記事で「繰り上げ返済はどちらでもいい」と書いた気がしましたが、金利環境が変わりつつある今は「高金利ローンから順番に削減する」という姿勢を少し強めています。
不動産投資ローンの審査を通すコツや利回りの正確な計算方法も参考にしてみてください。