空室発生から52日間の全記録|埼玉ワンルームで実際に起きたこと
不動産投資の空室が52日で解消するまでの全プロセスを公開。管理会社交渉・フリーレント戦略・審査通過の実体験をサラリーマン大家が正直に記録。
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3月28日、退去通知ではなく「退去連絡ありがとうございました」という管理会社からのメールを見て、少しほっとした。
前の入居者は3年間、一度も家賃を滞納せず、近隣トラブルの報告もなかった方でした。挨拶文には「お世話になりました」と一言添えられていて、それが正直、感慨深いものがありました。
でも、ほっとしたのはほんの数秒のこと。
次の瞬間には、「空室プレッシャー」が始まっていました。
52日間。長いのか短いのか。僕には判断基準がなかった。
正直に言うと、不動産投資を始めるまで「空室期間の平均」を真剣に調べたことがなかった。
「ワンルームなら1ヶ月くらいで決まるでしょ」——そんな楽観があったのは事実です。
でも現実は、52日。
1ヶ月と22日。その間、管理会社との交渉があり、内見ゼロの2週間があり、フリーレント提案の葛藤がありました。
この記事では、埼玉・川口市の木造アパート(1K、家賃62,000円)で発生した空室が、入居決定に至るまでの52日間を、日付と数字とともに書き残しておきます。
これからサラリーマン大家としての投資を始める方、あるいはすでに物件を持っていて空室に悩んでいる方に、少しでも参考になれば。
Week1(4/1〜4/7):退去立ち会い・原状回復の見積もり
4月1日(退去立ち会い)
当日は管理会社の担当者と一緒に部屋に入りました。
前の入居者が3年住んだ室内は、思ったよりきれいな状態でした。壁紙の日焼け、エアコンのフィルター汚れ、シンクの水垢——よくある経年劣化の範囲内。
問題が発覚したのは、洗面台の排水部分。入居者が退去後に気づいた、と管理会社担当者が言っていましたが、詳しく見ると「詰まりかかっている」状態でした。
原状回復費の見積もりは、数日後に届きました。
原状回復費:89,000円(管理会社経由)
内訳:
- ハウスクリーニング: 38,000円
- 壁紙一部張り替え(洗面所・キッチン周辺): 26,000円
- 排水管清掃: 15,000円
- 照明交換(1箇所): 10,000円
正直、89,000円という数字は「高いか安いか」の判断がつきませんでした。修繕費の計画と積み立て方を事前に学んでいなければ、そのまま言われるがままに承認していたと思います。
結果的には、清掃費の一部交渉で5,000円値引きを引き出せましたが、基本は「管理会社が提示してくる金額は鵜呑みにしない」という姿勢が大事だと改めて感じました。
Week2〜3(4/8〜4/21):募集開始・内見ゼロの2週間
4月8日(募集開始)
原状回復工事が完了し、SUUMO・HOME’Sへの掲載が始まりました。
家賃: 62,000円(管理費込み) 敷金: 1ヶ月、礼金: 1ヶ月
掲載初日は、少し期待していました。「1週間以内に内見が入るかも」と。
それが甘かった。
4月8日から4月21日まで——2週間、内見は1件もありませんでした。
(この記事書いてる今も、次の退去通知を怯えながら待ってる笑)
内見ゼロの2週間は、本当につらかった。毎朝スマホを開いて管理会社アプリを確認する。「問い合わせ:0件」の文字を見るたびに、じわじわと不安が蓄積していく。
管理会社に連絡してみると、「まだ掲載して間もないので…」という、どこか他人事のような返答。
管理会社の反応が薄くて、不安になりました。
包み隠さず書くと——管理会社への不信感が生まれ始めたのがこの時期でした。管理会社の選び方と見極め方を読んでいなければ、感情的に「変更しよう」と動いていたかもしれません。
Week4(4/22〜4/28):内見2件・申込なし
4月22日、ようやく最初の内見が入りました。
結果: 申込なし。
4月25日、2件目の内見。
結果: 申込なし。
2件の内見を経て、管理会社から「少し条件の見直しを検討されてはいかがでしょうか」という連絡が入りました。
具体的な提案: 家賃を1,000円値下げして61,000円にする
僕の反応は、正直「う〜ん」でした。
1,000円の値下げは、年間12,000円の機会損失。さらに、次の入居者が3年住んでくれたとして36,000円。「下げたくない」という感情は当然あります。
ただ、もう一つの感情もありました——「もっと早く決めたい」。
転機:管理会社への交渉と「フリーレント1ヶ月」の提案
値下げ提案を受けた翌日、僕は管理会社に電話しました。
「家賃の値下げではなく、フリーレント1ヶ月にしたい」
管理会社の担当者は最初、少し戸惑っていました。
「フリーレントですか…入居者にとっては初月無料になりますね。オーナー様的には62,000円の機会損失になりますが…」
わかってます。62,000円の機会損失。
でも、家賃を1,000円下げれば、それは永続的な損失です。3年入居してくれれば36,000円。一方、フリーレントは一時的な損失で62,000円だけど、その後は62,000円×35ヶ月(3年-1ヶ月)で入ってくる。
数字で考えれば、フリーレントのほうが長期的には有利です。
空室リスクと対策の全体像でも触れていますが、空室対策は「今の損失」と「長期の収益」のバランスで考えることが重要だと、この時改めて実感しました。
管理会社は最終的に「それでやってみましょう」と動いてくれました。
Week5〜8(4/29〜5/21):申込あり→審査通過→52日目に入居決定
フリーレント1ヶ月に変更して、SUUMO・HOME’Sの掲載を更新。
変化は明らかでした。
更新から3日後に問い合わせが2件。翌週に内見が3件入り、5月7日に申込が入りました。
申込者: 20代後半・会社員・単身・年収380万円
入居審査の基準については入居審査で失敗した経験でも書いていますが、今回は特に問題なく通過。
5月21日——52日目。
「入居決定のご連絡」というメールが届きました。
52日間の空室期間。機会損失の計算:
- 家賃62,000円 × 1.73ヶ月 ≈ 107,000円(空室期間中の家賃損失)
- フリーレント1ヶ月 = 62,000円(入居後の機会損失)
- 合計: 約169,000円の影響
「高いのか安いのか」という感覚はまだ判断できないけれど、52日間で次の入居者が決まったという事実は、自分なりの「基準値」になりました。
空室対策を振り返って:やってよかったこと・失敗したこと
やってよかったこと
1. フリーレント提案への切り替え
家賃値下げではなくフリーレントを選んだ判断は、正しかったと思っています。62,000円の一時損失で、その後は満額家賃が続きます。管理会社変更や交渉の実体験でも書いていますが、「管理会社の最初の提案をそのまま受け入れない」姿勢は大事。
2. 原状回復費の交渉
小さい額ですが、5,000円の値引きを引き出せたこと。89,000円という提示額に対して「なぜこの金額なのか」を聞いた結果でした。
失敗したこと(反省点)
1. 募集条件の設定が遅かった
退去連絡をもらった時点で「フリーレント有り」の条件で募集をかけることもできたはずです。「まず通常条件で試して、ダメならフリーレント」という判断が、2週間の空白を生んだ可能性があります。
2. 管理会社への確認頻度が低かった
週1回のメール確認では足りなかった。特に掲載初週は「どのくらい閲覧されているか」「問い合わせの傾向はどうか」を細かく確認すべきでした。
FAQセクション|空室に関するよくある質問
Q: ワンルームの空室期間の平均ってどのくらい?
A: 国土交通省の調査によると、賃貸住宅の平均空室期間は約1〜3ヶ月とされています。ただし、エリア・築年数・家賃設定・管理会社の対応力によって大きく差が出ます。今回の埼玉川口の52日(約1.7ヶ月)は、平均的な範囲内と言えますが、「内見ゼロの2週間」があったことを考えると、フリーレント提案が功を奏した結果だと思っています。
Q: 空室が2ヶ月以上続いたら何か対策すべき?
A: 2ヶ月経っても決まらない場合は、以下を順番に確認してください。(1)掲載写真の質(暗い・古い写真は更新する)、(2)家賃設定の相場確認(SUUMOで同条件物件と比較)、(3)管理会社への積極的な確認(広告料増額・ポータル掲載数の増加)、(4)フリーレントや初期費用軽減(礼金ゼロ等)の検討。2ヶ月は「何かが間違っている」サインと捉えるべきです。
Q: フリーレントって貸主側のデメリットはある?
A: 主なデメリットは「入居初月の家賃損失(=フリーレント期間×家賃)」です。今回でいえば62,000円。ただし、「早期入居決定による空室期間の短縮」と「家賃値下げの回避(長期収益の維持)」という2つのメリットが上回るケースが多いです。注意点は、短期退去リスク。フリーレント狙いの短期入居者が来る場合があるので、最低入居期間の条項を入れておくと安心です。
Q: 管理会社に空室対策の相談はしていいの?
A: むしろ積極的にすべきです。管理会社は「聞かれたことには答える」スタンスの会社が多く、こちらから動かないと提案が来ないことが多い。「内見が何件入っているか」「閲覧数はどうか」「競合物件の状況は?」を定期的に聞くことで、管理会社も動きやすくなります。不動産投資は「任せっきり」が一番危険です。
Q: 空室ロスを年間計算するとキャッシュフローにどれくらい影響する?
A: 今回のケースで計算してみます。家賃62,000円×12ヶ月=年間744,000円が満室時の収入。空室52日+フリーレント1ヶ月の影響を年間に換算すると、約169,000円のロス。これは年間収入の約22.7%に相当します。キャッシュフロー計画では「年間空室率10〜15%」を想定しておくのが現実的だと感じています。
追記(2026/04/18)
この後、同じアパートの別室が空室になったので、フリーレント戦略を最初から即実行しました。今回の52日間の経験から、「内見ゼロ2週間→慌てて条件変更」という失敗パターンを繰り返したくなかったので。
結果は——30日以内に入居が決まりました。
「最初から正しい条件設定をすること」が、空室対策の一番のコツだと確信しています。
まとめ
52日間で学んだことを一言でまとめると、**「空室対策は入居者が退去した瞬間から始まる」**ということです。
退去連絡をもらった時点で、募集条件を決め、管理会社と戦略を擦り合わせる。「まず通常条件で試して、ダメなら交渉」ではなく、「初めから最適な条件で勝負する」。
今回の経験は、そういう教訓として、僕の中に刻まれています。
空室が怖くて不動産投資の一歩を踏み出せない方へ——空室は確かに怖いです。でも、怖がっているだけでは何も変わらない。築古アパートへの投資の現実でも書きましたが、不動産経営は「問題が起きること」が前提の世界。問題が起きた時に、どう対処するかを学んでいくことが、経営者としての成長だと思っています。