利回り計算の教科書|表面利回りと実質利回りの違いを完全理解
不動産投資の利回り計算を完全解説。表面利回り・実質利回り・ROIの違いと、正しい計算方法を具体例で学べます。
利回りを正しく理解しないと、不動産投資は失敗する
不動産投資で一番よく出てくる言葉、それが利回り。
「この物件、利回り8%ですよ!」
不動産屋からこんな風に言われたら、あなたはどう判断する?「おお、いいじゃん!」って飛びつく?
ちょっと待って。その「利回り8%」が表面利回りなのか実質利回りなのかで、意味が全然違うんですよ。
この記事では、不動産投資の利回り計算を完全解説します。表面利回り・実質利回り・ROIの違いを理解して、物件の「本当の実力」を見抜けるようになりましょう。
表面利回り(グロス利回り)
計算式
表面利回り = 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
計算例
- 物件価格: 2,000万円
- 月額家賃: 10万円
- 年間家賃収入: 120万円
表面利回り = 120万円 ÷ 2,000万円 × 100 = 6.0%
表面利回りの特徴
- 計算が簡単
- 物件広告に載ってる利回りは99%これ
- 経費を考慮していないので、実態より高く見える
- 物件同士をザックリ比較するときに使う
表面利回りの落とし穴
表面利回りには大きな落とし穴がある。それは経費が一切含まれていないこと。
管理費、修繕費、固定資産税、保険料…不動産を持っていると必ずかかる経費がある。表面利回り8%の物件でも、経費を引いたら実質4%、なんてことは普通にある。
だから、表面利回りだけで投資判断するのは絶対にNG。あくまで「最初のフィルタリング」として使うもの。
実質利回り(ネット利回り)
計算式
実質利回り =(年間家賃収入 − 年間経費)÷(物件価格 + 購入時諸費用)× 100
計算例
- 物件価格: 2,000万円
- 購入時諸費用: 160万円(物件価格の8%)
- 月額家賃: 10万円
- 年間家賃収入: 120万円
年間経費の内訳:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 管理委託料(家賃の5%) | 6万円 |
| 管理費・修繕積立金 | 18万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 10万円 |
| 火災保険料 | 2万円 |
| 修繕費(見込み) | 6万円 |
| 経費合計 | 42万円 |
実質利回り =(120万円 − 42万円)÷(2,000万円 + 160万円)× 100 = 3.6%
表面利回り6.0%だった物件が、実質利回りでは3.6%に。けっこう下がるでしょ?
実質利回りに含めるべき経費
| 経費項目 | 目安 |
|---|---|
| 管理委託料 | 家賃の3〜5% |
| 管理費・修繕積立金(区分) | 月1〜3万円 |
| 固定資産税・都市計画税 | 物件による(購入時に確認) |
| 火災保険料 | 年1〜3万円 |
| 修繕費(見込み) | 年間家賃の5〜10% |
| 入居者募集費用 | 退去時に家賃1〜2ヶ月分 |
実質利回りの目安
| 物件タイプ | 実質利回りの目安 |
|---|---|
| 都心ワンルーム | 3.0〜4.5% |
| 都心ファミリー | 3.5〜5.0% |
| 郊外一棟アパート | 5.0〜8.0% |
| 地方一棟アパート | 7.0〜10.0% |
| 築古物件 | 8.0〜12.0% |
表面利回りと実質利回りの差はどれくらい?
一般的に、表面利回りから1.5〜3ポイントくらい下がるのが実質利回り。
| 表面利回り | 実質利回り(目安) |
|---|---|
| 5% | 2.5〜3.5% |
| 8% | 5.0〜6.5% |
| 10% | 7.0〜8.5% |
| 15% | 10.0〜12.0% |
この差を理解していないと、「表面8%でいけると思ったのに、全然キャッシュフロー出ないじゃん…」ということになる。
自己資金利回り(ROI / CCR)
もう一つ、上級者が使う指標を紹介します。
計算式
自己資金利回り(CCR) = 年間キャッシュフロー ÷ 自己資金 × 100
計算例
- 物件価格: 2,000万円
- 自己資金: 400万円(頭金200万円 + 諸費用200万円)
- 融資額: 1,800万円(金利2%、30年返済)
- 月間家賃: 10万円
- 月間経費: 3.5万円
- 月間ローン返済: 6.6万円
- 月間キャッシュフロー: 10万 − 3.5万 − 6.6万 = △0.1万円
あれ、キャッシュフローがマイナス…。
これがレバレッジの罠。融資を使うと、自己資金利回りが高くなることもあれば、キャッシュフローがマイナスになることもある。
キャッシュフローがプラスになる条件を計算してみよう
- 月間家賃を11万円にした場合: 11万 − 3.5万 − 6.6万 = +0.9万円/月
- 年間キャッシュフロー: 10.8万円
- CCR = 10.8万円 ÷ 400万円 × 100 = 2.7%
「たった2.7%?銀行預金と大差ないじゃん」と思うかもしれないけど、ここで考えてほしいのは:
- ローン返済のうち元本部分は「貯金」と同じ(資産が積み上がる)
- 減価償却による節税効果がある
- 将来の家賃上昇・物件値上がりの可能性がある
キャッシュフロー利回りだけでは見えない価値が不動産投資にはあるんです。
利回り以外にも見るべき指標
利回りは重要だけど、利回りだけで投資判断すると痛い目を見る。他にも見るべき指標があります。
返済比率
返済比率 = 月間ローン返済額 ÷ 月間家賃収入 × 100
50%以下が安全ライン。60%を超えると空室リスクに弱くなる。
債務償還年数(DCR)
DCR = 純営業利益(NOI)÷ 年間ローン返済額
1.3以上が望ましい。1.0を切ると、家賃収入でローンを返せないことを意味する。
空室率を考慮した利回り
利回り計算は満室前提で行われることが多いけど、常に満室が続くわけではない。空室率を5〜15%程度見込んで計算するのが現実的。
よくある間違い
間違い1: 想定家賃で計算してしまう
物件広告に載っている家賃は「想定家賃」であることがある。実際の入居中の家賃と異なるケースがあるので、レントロール(実際の賃貸契約の一覧)で確認すること。
間違い2: 築年数による家賃下落を無視
築年数が古くなれば家賃は下がる。年1%程度の家賃下落を見込んでシミュレーションするのが堅実。
間違い3: 利回りが高い=良い物件だと思い込む
利回りが高い物件には理由がある。駅から遠い、人口減少エリア、築古で修繕リスクが高い…など。利回りが高いのは「リスクプレミアム」が乗っているから。
物件選びの詳しいコツは失敗しない物件選び7つのポイントをどうぞ。
利回り計算の実践練習
最後に、練習問題をやってみましょう。
問題
以下の物件の表面利回り・実質利回りを計算してください。
物件情報:
- 物件価格: 3,000万円
- 購入諸費用: 240万円
- 月額家賃: 15万円(満室想定)
- 年間経費: 60万円
解答:
表面利回り = (15万円 × 12) ÷ 3,000万円 × 100 = 6.0%
実質利回り = (180万円 − 60万円) ÷ (3,000万円 + 240万円) × 100 = 3.7%
表面利回り6.0%の物件が、実質では3.7%。この差を常に意識することが大事です。
まとめ
利回り計算の完全ガイドをお届けしました。
この記事のポイント:
- 表面利回り: 年間家賃÷物件価格。あくまで目安。広告に載ってるのはこれ
- 実質利回り: 経費を引いた実態の利回り。投資判断はこちらで
- 自己資金利回り(CCR): レバレッジの効果を測る指標
- 表面と実質の差は1.5〜3ポイント程度
- 利回りが高い=良い物件とは限らない
- 利回り以外にも返済比率やDCRを確認する
- 空室率・家賃下落も見込んだシミュレーションが必要
利回りは不動産投資の「共通言語」。正しく理解して、物件の本当の実力を見抜けるようになりましょう。