区分マンション vs 一棟アパート|サラリーマン投資家が両方やってわかった本当の違い
区分マンションと一棟アパート、両方に投資した現役サラリーマンが初期費用・利回り・管理の手間・リスクをリアルに比較。あなたに合った投資法がわかります。
「区分と一棟、結局どっちがいいの?」という永遠の問いに答えます
不動産投資を始めようとすると、必ずぶつかる壁がある。
区分マンションと一棟アパート、どちらを買うべきか。
僕は2019年に区分マンション1戸目を購入し、2022年に一棟アパートを取得した。つまり、両方を実際にやっている。セミナーや書籍ではどちらか一方を推す意見が多いけれど、正直なところ、それぞれに明確なメリットとデメリットがある。どちらが「正解」かは、その人の年収、家族構成、投資に割ける時間、そしてリスク許容度によって変わる。
この記事では、僕自身の実体験をベースに、区分マンションと一棟アパートを7つの視点から比較していきます。数字はできる限り実際のものを使いますので、シミュレーションの参考にしてください。
僕のプロフィールと投資遍歴
まず前提として、僕の属性を簡単に。
- 38歳、都内メーカー勤務のサラリーマン
- 年収は約650万円(2019年当時は580万円)
- 妻と子ども1人の3人暮らし
- 2019年:都内の中古ワンルームマンション(区分)を1,450万円で購入
- 2022年:埼玉県の中古一棟アパート(6戸)を3,800万円で購入
区分マンションは最初の一歩として選び、ある程度慣れてから一棟に進んだ形です。どちらも中古で、新築には手を出していません。
比較1:初期費用と融資のハードル
区分マンションの場合
僕が買った都内中古ワンルームの初期費用はこうだった。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 1,450万円 |
| 頭金 | 50万円 |
| 諸費用(仲介手数料・登記・火災保険等) | 約65万円 |
| 自己資金合計 | 約115万円 |
融資は某地銀で金利1.8%、35年ローン。年収500万円台でも審査は通りました。区分マンションは融資のハードルが圧倒的に低い。これは間違いない。
一棟アパートの場合
一方、一棟アパートはこう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 物件価格 | 3,800万円 |
| 頭金 | 380万円(物件価格の10%) |
| 諸費用(仲介手数料・登記・火災保険等) | 約190万円 |
| 自己資金合計 | 約570万円 |
頭金は10%求められた。諸費用も物件価格に比例して上がる。融資は信用金庫で金利2.1%、25年ローン。年収600万円台で、区分マンションの実績があったから通った——という印象です。初めての物件でいきなり一棟は、属性によってはかなり厳しいと思います。
**結論:初期費用の低さでは区分マンションが圧勝。**自己資金100万円台から始められるのは、サラリーマンにとって大きなメリットです。
不動産投資の融資について詳しく知りたい方は投資用ローン完全ガイドもあわせてどうぞ。
比較2:利回り(表面と実質)
区分マンション
- 表面利回り:5.5%(年間家賃80万円 / 物件価格1,450万円)
- 実質利回り:約3.8%(管理費・修繕積立金・固定資産税等を差し引き後)
区分マンションの弱点はここです。管理費と修繕積立金が毎月かかるため、表面利回りと実質利回りの乖離が大きい。僕の物件では管理費8,500円、修繕積立金6,200円で、毎月14,700円が家賃から消える。
一棟アパート
- 表面利回り:8.4%(年間家賃320万円 / 物件価格3,800万円)
- 実質利回り:約6.1%(管理委託費・修繕費・固定資産税等を差し引き後)
一棟アパートは管理組合がないため、管理費・修繕積立金の強制徴収がない。代わりに自分で修繕費を積み立てる必要があるけれど、そのコントロール権が自分にあるのは大きい。
**結論:利回りは一棟アパートが上。**ただし、区分マンションでも立地次第で実質利回り4%台は十分狙えます。利回りの計算方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。利回り計算の完全ガイド
比較3:管理の手間
ここは意外と語られない部分です。
区分マンション:ほぼ何もしなくていい
区分マンションは管理会社にすべて任せれば、オーナーがやることはほとんどない。僕の場合、購入から3年間で自分が対応したのは以下だけ。
- 退去立ち会い(1回、管理会社が代行してくれたので実質ゼロ)
- 設備故障の修理承認(エアコン交換1回、約8万円)
- 確定申告(毎年)
本業が忙しいサラリーマンには、この「手離れの良さ」は本当にありがたい。
一棟アパート:想像以上にやることがある
一棟アパートは、購入してから知ったことが山ほどあった。
- 共用部の清掃:月2回、清掃業者に委託(月1万円)
- 除草・剪定:年2回、造園業者に依頼(1回3万円)
- 退去リフォーム:壁紙・クリーニングの手配、費用交渉
- 設備トラブル:給湯器故障、水漏れ、排水詰まり——6戸あるので頻度が高い
- 入居者トラブル:騒音クレーム、ゴミ出しルール違反など
管理会社に委託しても、最終的な判断や承認はオーナーの仕事。電話がかかってくる頻度は、区分マンションの比ではないです。
**結論:管理の手間は区分マンションが圧倒的にラク。**一棟は「不動産事業」の感覚に近い。
比較4:空室リスク
区分マンション:0か100かの世界
区分マンション最大のリスクがこれ。1戸しかないから、空室になると家賃収入がゼロになる。僕の物件は幸い退去後1ヶ月で次の入居者が決まったけれど、その1ヶ月間は完全にローン持ち出しだった。
月々のローン返済額が約4.5万円、管理費・修繕積立金が1.5万円。空室の間は毎月6万円が消えていく——この恐怖は体験しないとわからない。
一棟アパート:分散が効く
一棟アパート6戸のうち、1戸が空室になっても残り5戸の家賃でローンは回る。実際、購入から今日まで満室の月は全体の約6割で、常に1戸は退去・募集中という状態。でも、キャッシュフローがマイナスになったことは一度もない。
これが「分散」の力です。
**結論:空室リスクの分散では一棟アパートが有利。**ただし、区分マンションも都心好立地なら空室期間を最小化できます。
比較5:出口戦略(売却のしやすさ)
区分マンション
区分マンションは売却しやすい。特に都心のワンルームは市場が大きく、買い手がつきやすい。実需(自分で住む人)にも投資家にも売れるので、出口の選択肢が広い。
一棟アパート
一棟アパートは買い手が限られる。投資家しか買わないし、融資がつかないと売れない。築年数が古くなると融資期間が短くなり、キャッシュフローが出にくくなるため、買い手がさらに減る。
僕はまだどちらも売却していないけれど、出口を考えると区分マンションのほうが安心感がある。
**結論:流動性では区分マンションが上。**一棟は「買ったら長期保有」が基本戦略になります。
比較6:節税効果
区分マンション
RC造のマンションは耐用年数47年。築20年の中古でも残存年数が長く、1年あたりの減価償却費は小さい。僕の物件では年間約28万円。節税効果としては正直、微妙なレベルです。
一棟アパート
木造アパートは耐用年数22年。築15年の物件だと残存年数7年で、年間の減価償却費は約240万円になった。これは課税所得を大きく圧縮してくれるので、サラリーマンの所得税・住民税の還付額がかなり大きい。
ただし、減価償却期間が終わると逆にデッドクロス(税金が増える)が発生するリスクがある。短期間の節税効果だけで飛びつくのは危険です。
**結論:短期的な節税効果は一棟アパート(木造)が大きい。**でも、出口まで含めたトータルで考える必要があります。
比較7:精神的な負担
これは数字にできない部分ですが、投資を続けるうえで非常に重要です。
区分マンションは管理組合が建物全体を面倒みてくれる。共用部の修繕も管理組合の決議で進むから、自分一人で判断しなくていい。一方で、管理組合の方針に従うしかないという不自由さもある。
一棟アパートは全てが自分の責任。屋根が傷んだら自分で業者を探して修繕する。入居者が退去するたびに「次は決まるだろうか」と気になる。夜中に管理会社から電話が来ることもある。
僕の場合、一棟アパートを買ってから半年くらいは、週末もアパートのことが頭から離れなかった。慣れてきた今でも、区分マンションの「存在を忘れられる感」には及ばない。
**結論:精神的なラクさでは区分マンションが上。**一棟は覚悟が必要です。
サラリーマンにはどちらが向いているか?
ここまでの比較を表にまとめます。
| 比較項目 | 区分マンション | 一棟アパート |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低い | 高い |
| 利回り | 低め | 高め |
| 管理の手間 | ほぼゼロ | それなりにある |
| 空室リスク | 集中(0か100か) | 分散される |
| 流動性(売りやすさ) | 高い | 低い |
| 節税効果 | 小さい | 大きい(木造) |
| 精神的負担 | 小さい | 大きい |
区分マンションが向いている人
- 不動産投資が初めてで、まず1歩踏み出したい人
- 本業が忙しく、投資に時間を割けない人
- 自己資金が少ない(200万円以下)人
- 「失敗しても致命傷にならない」規模で始めたい人
不動産投資の最初の一歩についてはワンルーム投資ガイドで詳しくまとめています。
一棟アパートが向いている人
- 区分マンション等で不動産投資の経験がある人
- 自己資金が500万円以上ある人
- 将来的にFIREや専業大家を目指している人
- 管理業務も含めて「不動産事業」をやりたい人
僕が出した答え:「区分で始めて、一棟に進む」
いろいろ書いてきましたが、僕自身の結論はシンプルです。
まず区分マンションで不動産投資の基礎を学び、自己資金と経験を貯めてから一棟に進む。
区分マンション1戸目で学んだことは計り知れない。融資の流れ、管理会社との付き合い方、確定申告の実務、家賃相場の調べ方——これらを小さなリスクで経験できたからこそ、一棟アパートの判断ができた。
逆に、最初から一棟アパートに飛び込んでいたら、知識不足で物件選びを間違えていたかもしれない。
もちろん、資金力があって不動産の知識がある人なら、最初から一棟でもいいと思います。でも、多くのサラリーマンにとっては「区分→一棟」のステップアップが最も現実的なルートだと僕は考えています。
よくある質問
Q. 区分マンションは儲からないと聞きますが?
たしかに、区分マンション単体で大きく資産を増やすのは難しい。でも「儲からない=悪い投資」ではない。ローン返済を入居者の家賃で賄い、完済後に家賃がまるまる入ってくる——この仕組みは長期的に見れば十分なリターンです。問題は「区分マンションで短期的に儲けよう」とする考え方のほうにあります。
Q. 一棟アパートの修繕費はどのくらい見ておくべき?
僕の経験では、年間家賃の10〜15%を修繕積立として確保しておくのが安心です。6戸のアパートで年間家賃320万円なら、32〜48万円を修繕用にプール。実際、購入2年目に外壁塗装で約90万円かかったので、初年度から積み立てていて助かりました。
Q. 両方持つメリットはありますか?
あります。区分マンション(都心RC)は安定性担当、一棟アパート(郊外木造)はキャッシュフロー担当——という役割分担ができる。エリアも構造も分散されるので、リスクヘッジになります。
まとめ:正解はない、でも「自分に合った正解」はある
区分マンションと一棟アパート、どちらが優れているかという問いに絶対的な答えはない。あるのは「今の自分に合っているのはどちらか」という相対的な答えだけです。
この記事が、あなたの投資判断の一助になれば幸いです。
不動産投資全般の基礎知識については不動産投資の始め方完全ガイドにまとめていますので、これから始める方はそちらもぜひ読んでみてください。
僕もまだまだ道の途中です。一緒に、一歩ずつ進んでいきましょう。